
1日目最初の審査は、第二次書類審査を勝ち抜いたオリジナルカクテルを創作し、目の前に座った審査員に対してプレゼンテーション。選手は3グループに分かれ、カードで競技の順番を決定。グラスウェア、小物といった道具類に、自家製リキュールや種々のスピリッツなどの副材料…この日のために用意したものがぎっしり詰め込まれたキャスターバッグを広げ、入念にチェックを繰り返す光景が見られた。
プレゼンテーションではハーブティーの色の変化を利用した演出や、液体窒素を使った派手なパフォーマンスを行うなど、それぞれの選手がエンターテイナーとしての才能も発揮。各会場からは競うように歓声と拍手が上がった。また、今回はすだち、ゆず、大葉といった日本ならではの素材を取り入れた作品が複数あり、茶筅でスピリッツの茶を点てるといった趣向も。スピリッツのフレーバーを意識した、ハーブ、スパイスの使用も多く見受けられた。
2つ目の審査は『フード・ペアリング』。用意された5種類のフードの1つと相性のいいカクテルを、作品のコンセプトをプレゼンテーションしながら創作するというもの。どのフードが当たるかはカードで決められる。はじめにシェフが素材、調理法について細かく説明。選手たちは熱心にメモを取り、フードを口に運びながら真剣な表情で吟味。何のスパイスを使っているかといった質問も出された。
制限時間は準備に10分、カクテル創作とプレゼンテーションに7分。十分に考え、迷いなく突き進んでいくタイプ、大枠だけを決め、考えながらつくっていくタイプと選手の対応もさまざま。ただし、翌日のステージに勝ち進めるのはわずか5名。順番を待つ選手のはりつめた緊張感と他の選手の実技を見る真剣な眼差しが、この大会に賭ける想いと期待の大きさを物語っていた。
1日目の審査結果は、審査終了後のパーティで発表。自分の名前が読み上げられた瞬間、緊張した面持ちから一転、ガッツポーズ、雄叫びと喜びを全身で表現するファイナリストたち。明日への抱負を語る彼らに会場からは称賛の拍手が沸き起こり、競い合ってきた仲間たちからも祝福を受けた。
審査を通過した5名は早くも2日目の実技審査に備え、バーカウンターの配置などを入念にチェック。実際にボトルを持ってイメージをつかもうとするなど、大きく近づいたギリシャ・アテネ行きのチケットをつかもうと意欲を見せた。
2日目の審査はイベント形式で行われ、150名を超える招待客およびプレス関係者を前にファイナリスト5名がその腕を競い合った。
この日最初の審査は『スピード・チャレンジ』。昨年、世界大会でも行われた審査の一つで、決められた5種類のカクテルをいかに速く、おいしく、そして美しくつくるかを競う。ジャズにクラシック、ロックにアニメソングと各自用意した曲をBGMに競技に臨み、「初めての挑戦でむずかしかった」と感想を語る挑戦者たちだったが、タイムは世界大会でも通用するような好記録をマーク!世界での活躍に期待を感じさせた。
日本大会最後の審査は『カード・ドロー・チャレンジ』。さまざまなテーマが書かれているカードを引き、そのテーマに合ったカクテルをスピリッツの特長や作品の意図を説明しながらつくっていくというもの。「長年付き合っていて結婚を約束していた彼にフラれ、失恋のどん底にある30代の女性のためのカクテル」など、カードに記された難題に会場からはどよめきが起きたが、バーを訪れたお客さまとのやりとりを一人二役で演じたり、ラジオ番組へのリクエスト仕立てにしたり、アイデアあふれるプレゼンテーションが行われ、審査員をはじめ来場者を大いに楽しませた。
すべての審査が終わった後は、和やかな雰囲気のパーティタイムに。また、2日間にわたり審査に加わった昨年の『ワールドクラス』日本大会優勝者のザ・ペニンシュラ東京の鎌田真理さん、世界大会優勝者のアリストテレス・パパドポロスさんのデモンストレーションも行われ、世界レベルのパフォーマンスに選手はもちろん、招待客も魅了された。
『ワールドクラス』の目的の一つに、バーテンダーのコミュニティの醸成がある。今大会では審査の合間にもお互いの作品を試飲したり、感想や意見を交わすといった選手同士の交流が活発に行われた。また、パーティ内でも選手や昨年の優勝者と気軽に話をするなど、コミュニケーションが積極的に図られていたのも大きな収穫といえる。
接戦を制し、栄えある日本代表の座を射止めたのは、「ザ セイリングバー(奈良県)」の渡辺匠さん。祝福と激励のなか、ギリシャ・アテネの世界大会に向けて世界のベストバーテンダーを目指した渡辺さんの新たな戦いが、早くもこの日から始まった。
