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横浜の老舗

キリンビールは、横浜生まれ。

横浜が開港したのは1859(安政6)年。その後1870(明治3)年にウィリアム・コープランド(William Copeland、1834〜1902)が横浜・山手に興したビール醸造所が「スプリング・バレー・ブルワリー」です。キリンビールのルーツは、ここに辿ることができます。
というのも、「スプリング・バレー・ブルワリー」の跡地を引き継いだ「ジャパン・ブルワリー」から1888(明治21)年に発売されたのが、「キリンビール」ブランドのビールだからです。さらに、このジャパン・ブルワリーを継承し、1907(明治40)年には「麒麟麦酒株式会社」が創立されました。横浜市鶴見区生麦に工場を移した今も、キリンビールはここ横浜でおいしいビールをつくり続けています。
キリンビールは横浜で生まれ、皆さまに育てていただいた会社なのです!

開港以来の多様な食文化を今に伝える、横浜の「老舗」

ところでこの開港は、皆様がよくご存知の通り、日本の文化に劇的な変化をもたらしました。 海外から様々な料理や食材が紹介されたことによる食文化の変化もその1つです。開港の後の横浜には、中華、フレンチ、イタリアンなどの各国料理、西洋文化の定着とともに誕生した洋食、そしてもちろん伝統的な和食など、極めて多様な食文化が生まれました。
こうした食文化を、昔も今も私たちに提供し続けてくれている横浜の「老舗」。横浜の街が、そしてキリンビールがそうであるように、たくさんの人々に広く永く愛され続けている、魅力あふれる横浜の「老舗」を、シリーズでご紹介していきます。

第22回 親しみやすさの中に光る、小粋な華やかさ
かつては鰻屋だった『七福』。今は刺身や焼き鳥、イワシ料理なども気軽に楽しめる。
「七福」 親しみやすさの中に光る、小粋な華やかさ
先代は鰻の名店で修業

 外は香ばしく、中はほろほろととろけるように柔らかく焼き上げた良質の国産鰻。鰻らしい風味を引き立てるのは、半世紀以上変わらないしっかりした味付けだ。
 創業者である先代は戦前、東京・築地にある鰻の老舗「宮川」で修業した鰻職人。七福の鰻はいわば「宮川」仕込みなのだ。
 「もとが鰻屋だからと、必ず鰻を注文してくださる常連さんもいらっしゃいます。でも今は刺身や焼き鳥、イワシ料理などお好きなものを気軽に楽しんでくださいね」
 と先代の娘である、女将の山田良江さん。

 開業は昭和23年頃。先代が復員後まもなく、現在の桜木町駅近くにあった「くじら横丁」に出した屋台が始まりだ。
 「当時は横浜の港に来れば食も職も手に入ると、日本中から人が集まってきたそうです」
 中でも野毛には一大露天マーケットがあった。築地で働いていた新潟県出身の先代が、戦後横浜にやって来たのは、そんな活気に惹かれてのことだったのだろう。

 「七福」という店名も、先代の戦争体験が色濃く影響している。
 「満州(中国東北部)に従軍中、飢えと病気に苦しみ、その上体中を南京虫に刺されて『もうだめだ』と思ったとき、地元の人が七福という名の丸薬をくださったのだそうです。それが不思議に効いて、命をとりとめた。そこで店の名にしたのだそうです」

要望に応え広がったメニュー

 桜木町が国鉄の終点駅で、三菱ドックも操業していた頃、野毛は大いににぎわった。
 「私の子ども時代は、人にぶつからないと歩けないくらいでした。店も大繁盛で、お勘定でいただいたお札が、一斗缶よりひと回り小さな『6ポンド缶』に入り切らず、足でぎゅうぎゅう詰め込んでいたそうです」

 お客様の要望で鰻以外のメニューも増えていき、夏の鰻、冬のフグの間にイワシ料理を出すようにもなった。今ではメニューの中で一ジャンルを形成するまでになり、なめろうのような「鰯味噌たたき」、すりつぶしたニンニクとゴマを塗って焼く「鰯ガーリック」などオリジナルメニューも多い。

 冬のフグは「ふぐちりコース」がコストパフォーマンスの良さで不動の人気。刺身(またはたたき)、唐揚げ、煮こごり(または皮の湯引き)、鍋、ひれ酒1杯、雑炊という内容で1人前5,000円(2008年10月時点の価格)。 ボリュームがあるので4人で3人前頼んでもいいし、グループであれこれ食べる中で1人前だけ「ふぐちりコース」を注文することも可能。フグのことならお任せという、店主の山田孝次さんが腕をふるう。
  まろやかな酸味のポン酢は、熱海産ダイダイをスタッフ総出で絞って作る。フグや冬野菜の出し汁が出た鍋のスープで割るだけで、立派な一品になるほどだ。

 四季を通して意識するのは「五感で楽しんでいただくこと」。蒲焼きなどの香りや、刺身に代表される盛りつけの美しさ、新鮮な素材そのものの旨さにお店の雰囲気。そして唇や口での触感。
 「ですからビールのグラスは冷たく冷たく冷やし、飲み干した後にきれいな天使の輪が残るよう、洗浄には徹底的に気を配ります。」
 たっぷり飲める大瓶も楽しいが、大のビール党という女将のおすすめは小瓶。
 「大瓶とはなぜか違う味に感じられるんです。中でもラガーの小瓶が、私は一番お気に入りです。」

蒲焼き2,520円。鰻を仕入れる川魚問屋とは先代の頃から50年来の信頼関係があり、常に良質の国産鰻を供している。

ふぐ唐揚げ950円は通年人気の一品

お刺身盛り合わせ2,000円。この日はタコ、アカイカ、イワシ、マダイ、マグロ。

 

 もうひとつの女将のお気に入りはブログ。店のホームページから「七福日記」で読むことができる。お店や料理、野毛や自身のことなど、多岐にわたる話題と率直な語り口が評判だ。
 「HPやブログを見て来てくださる方もいらしてうれしいです。ブログは半分自分のため(笑)。楽しみながら自由に書いています」

 野毛で生まれ育ち、病で倒れた先代の後を継いで21歳で女将となった。横浜の下町っ子らしく気さくで小粋。庶民的な雰囲気でありながら、先代の凛とした職人気質が息づく店に、女将の持ち味がきらりと華を添えている。

女将の山田良江さん。「笑顔と楽しい会話を心がけています。」

一人でも大勢でも楽しめる雰囲気。先代の出身地である新潟の地酒も豊富だ。
また、宴会用に小体な座敷もある。

1950年代半ば頃。中央の女の子が女将、抱いているのは母である先代女将。赤ちょうちんと縄のれんは今も変わらない。

七福
【住所】 横浜市中区野毛町1-6
【TEL】 045-242-7293
【営業時間】 17:00〜21:30(L.O.)
【定休日】 日、祝日
【アクセス】

JR・市営地下鉄桜木町駅または
京急日ノ出町駅より徒歩約5分

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